混xxxチキ ショートショート劇場 Vol, 2



□□□自家用ジェット機で・・・□□□


僕の自慢のパパはジェット機の運転手だ。
近所でも有名な僕のパパ。みんなはパパのことを変わり者って呼んでる。
家では面白いことばっか言って僕を笑わせてばかりいるから、そういうのを変わり者っていうんだろう。

毎日パパは家からジェット機にのってお仕事に行く。
僕はパパを毎朝見送る。
ものすごいエンジン音で耳が痛くなっちゃうのがちょっといやだなぁって思うけど、えらい社長さんみたいで誇らしい。
でも本当は課長ほさっていうお仕事なんだって。
ほさってなんなのかは僕にはよく分からないけど、きっと社長の次に偉いなんかなんだと思う。

パパのお休みの日には、僕も自慢のジェットに乗せてもらえる。そんな時はすごく気分がいいんだ。
みんなの視線はパパの運転するジェット機に釘付け!
青空色のジェット機で翼には赤いラインが三本入ってるし、翼にはジェットエンジンが二個ずつついていて、ゴウゴウとものすごい勢いで火を噴いている。

「こんなカッコいいジェット機を毎日真近で眺めることができて、お休みの日にはそれに自由に乗れる子供なんて、世の中そうそういないぞ!」ってパパも言ってた。

でもママはそんなパパのジェット機がちょっと嫌いみたい。

いつもガソリン代を気にしてるし、近くのお買い物に出かけるのにはとても不便だって。
ママのお気に入りのスーパーは一車線の狭い道を通らないと行けないから、ママはいつも自分の軽自動車に乗ってお買い物に行く。
それから、ご近所からもやっぱり苦情が来るみたいで、朝早くにエンジンをかけないで欲しいって何度もパパに言っていた。

そんなママも今日はめずらしく一緒にジェット機に乗ってお出かけだ。
家族三人で運転席に座って出発進行!

車輪の飛び出した分だけ車高の高いコックピッドは、大型トラックの運転席と同じくらいの高さがあるから、眺めも最高!
でもママってばちょっと不機嫌そうに「やっぱり車で行くべきだったわね。今日は行楽日和で天気もいいし渋滞に巻き込まれそうだわ」だってさ。

せっかくのお出かけなのにちょっとテンション下がるけど、でもいいんだ!
二車線の道路いっぱいに広がる翼で時速50キロで車道を走るジェット機は爽快!!。
僕は窓に顔をくっつけて、道行く人に誇らしげに手を振った。

と、その時後ろのダンプカーから身を乗り出した男が、大声で

「おい!!こらそこの飛行機!邪魔だよ!。羽が邪魔で追い越せね―んだよ!ジェット噴射も危ねーんだよ!!!飛べよ!!!」


ほんと、僕も飛べたら良いなって、いつもちょっとだけ思うんだ。


100103xxx

Back