スライムと窓と螺旋階段


4年位前のこと、三叉路が結成当時お世話になったイベントでディレクターだった人から
「なりゆきで会社の社長になっちゃって、人が足りないから手伝わない?」なんて声がかかった。
その頃の僕は三叉路で活動しながらバイトの掛持ちでかなりあほみたいに働いてたのね。
どんくらいあほかってーと、常時2〜3件のバイトをこなしながら約3〜4年間で30件近くバイトを掛持ちしてて、大義名分で人生経験とかっこつけながら、実は借金やら浪費癖やらで常にあっぷあっぷの状態だったわけよ。

ほんといろいろなバイトを渡り歩いたなぁ。
上げたら、ファミレス、そば居酒屋、コンビニ、カラオケ、警備員、イベントスタッフ、ワインバー、クレジットカード勧誘、スキー場山頂レストラン、引越し、荷揚げ、雑工、ガソリンスタンド、出荷仕分け、音響(PA)、特殊機材(テレビカメラ)、エキストラ、駐車場案内、ネットワークビジネス、同時通訳(音響スタッフ)、ナイトクラブ、雀荘、ホスト、詐欺まがいのことまでほんといろいろ!

一番ひどかったのが、深夜番で地元のカラオケ店やって早朝に隣のコンビニで働いたあと都内に移動して、ラブホテルの駐車場案内係の個室で仮眠とりながら(というか寝ぼけながら)働いたあとに登録制の現場行くか、電車移動中に仮眠とって地元に帰ってカラオケ店やらコンビニやらで働いて、日曜は三叉路の路上で井の頭公園で歌うような生活をエンドレスに2週間くらいお家にかえらず・・・

そりゃぁ駐車場係りのバイトで3回もお客の車をぶつけて1ヶ月でクビにもなるわな。。。。
しかもバイト初日にヤクザの車ぶつけてやんの!
そのバイトは、まっちゃんの紹介で変わりばんこにシフトに入ってたから、その後 僕の後始末を全部彼が被っちゃって、ヤクザに脅されたり、ねちっこいオヤジに修理費の不足分をしつこく請求されたりしてた。
そりゃ、いくら人の好いまっちゃんでもキレるよね・・・
三叉路が結成当時 仲の悪かった理由がここら辺にあったりもして・・・

まぁ、そんな僕のあほっぷりを見かねてか、逆に根性をみとめられてか、こんな僕なのに某葛ハ子国(仮称)の営業で就職が決まってしまった。
当時は社長と専務そして僕の3人、事務所は な、な、な、なんと恵比寿ガーデンプレイスの17階!
昨日まで雀荘でタバコ吸いながら働いてた小僧が、一気にビジネスマンの仲間入りですよ!!
かっこつけてスーツ着てガープレ(ガーデンプレイス)の入り口で警備員に社員証とか見せてやがんの。
一昨日まで登録制のバイトで警備員やってた俺が。。。!
笑っちゃうよねぇ

仕事は照明演出関係で、お客さんの7割位がラブホテル。
照明=電気関係の知識&技術が必要なんだけど、中卒レベルの僕の脳みそがそんな高度な知識持ってるはずも無く、まさに現場からの叩きあげ!
どんなことしてたかってーと、最初はラブホの雑誌や専門誌で片っ端から電話営業&繁華街の飛び込み。
担当者がつかまる確立は100分の1以下!、でようやく店長とかに話しを聞いてもらえるチャンスが来ても知識ゼロの僕は、会社案内のパンフ片手にしどろもどろですよ。
初めて売れた商品が、2ヶ月かかって1,000円位のぬいぐるみ!照明の会社なのに!!・・・
ホントに最初は社長も専務も「コイツどうしよう・・・(汗)」って思ったはずですが、着々とスキルを身につけて行って(たくさんの失敗と引き換えに。。。)1年後にはまぁ、ある程度営業も工事も出来るようになったんだ。

ほんとに最初の頃はわけわかんなかったし、電気工事じゃぁ何度も感電したし、カッターで左手中指の腱を切っちゃって、1ヶ月半ギターが弾けなくなったりもしたけど、やっぱバイトと社会人では目に映るものが違うんだな。
随分とたくさんのことを学んだ。
いろんなことをしてきただけに、今じゃPCもExcelは当然、写真屋、イラレ、JWCADやら簡単なキーフレームアニメくらい作れるし、音響もプロとして即戦力で働けるし、DMXも解るから照明のオペレーターもできる。
徹底的にサービス業を極めたし、営業職でプロジェクト管理もしてきたから、資金さえあれば会社だって多分作れる・・・・・・かも?(^^; それは言い過ぎだけども。。。

10代後半〜20代ってのは 初めて社会と接触して、あーでもない、こーでもないって悩みながらいろんなことを試して行く時代だと思うんだけど、全てが新しい出来事とのぶつかりあいだったりするからすごく疲れる! ホントつかれたなぁ あの頃は。。。・・・。。。・・・




昨年 某たまご国から独立してようやく一年が経ったんだけど、ようやく大きな階段を登り終えた気がする。
思えば、前に大階段を登り終えたのが8年くらい前 ちょうどハタチの頃かな。
その階段の名前は思春期ってゆー やっかいな階段だったんだけど、あれから社会に出て 無我夢中で登り続けてきた螺旋階段で、窓から見える景色がいつの間にか変わっていたことに気づいた。

だいたいいつも螺旋を一週した所に窓があるんだけど、そこから見える景色ってのがなかなか変わらない。
焦ったり、悩んだり、傷ついたりしながら登り続けても、いつもその窓の風景は絵画のように同じに見えていた。
周りの人はどんどん先を歩いてゆくのに、僕はいつも同じ所をグルグルまわり続けている。
いつまでたってもスライムを倒している勇者の気分?
でも、ほんとにある日突然「音」がなるんだよね。レベルアップの音が。。。
今まで全然変わってないように思っていた景色が、実は少しずつ変化していたことに気づく時があって、あまりに少しづつしか変化してないせいで、その微妙な変化の積み重ねがいつの間にか大きな変化になっていたことに気づかなかっただけってことに。
いつのまにかあんなに苦戦したスライムもさくさく倒せて、おまけに呪文も覚えてたりして。。。

そんな内面の変化があってこその、NHKでのチャンピオンがあったのかなと思う・・・
人それぞれ目に見える成長と、見えない成長ってのがあって、見えるものってやつは大概自画自賛だったり エゴのことが多く、気づかないうちに人をきずつけてたりもする。
見えない成長を確信した時、人は一回りおおきくなるもんなんだなぁと 今心から思う。

みんな登ってるんだよね、人それぞれ言い方は違えど、螺旋階段をさ・・・
4月の門出、社会人一年生に送る言葉は、迷っても登り続けなよ。そのうち良いことあるから。。。ってなかんじかな
20代の苦労は買いましょう。それも有り金全部はたいてでも!!
30代でぜっっったい花が咲くからさ!


060331xxx



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